不動産や有価証券などを担保にして借りる場合には、信用ベースのカードローンよりも審査に通りやすく、低金利で高額な借入れができます。
ここではなぜ担保があると審査に通りやすいのかについて、代表的な担保型融資の特徴と合わせて詳しくご紹介していきます。
銀行や消費者金融のカードローン審査に落ちる理由はいくつかありますが、融資を断られる人に共通しているのは「信用がない」ということです。
友だちでも信用がない人に「お金を貸してほしい」と頼まれたら断りますよね。
それと基本的な考え方は同じです。
でも、そんな人でも「返済できなかったら、これを売っても構わない」と言って、高級腕時計を預けてきたら、貸してもいいかなと思うかもしれません。
金融商品も同様で、信用がなくても担保になるものがあればお金を借りることができます。
ここでは何かを担保にしてお金を借りる方法や注意点などについて、分かりやすく解説していきます。
このページで分かること

カードローンでの審査に落ちた人でも、不動産や有価証券などを持っていれば、それらを担保にして融資を受けることができます。
担保型融資にはいくつのも種類がありますが、共通しているのは担保の価値以上には借りられないという点にあります。
このため、不動産や株式を担保にする場合には1億円を超える金額を借りられることもあります。
ただし、借入れまで時間がかかるものが多く、返済できなくなったときには担保にするものを失うことになるため、きちんと返済計画を立てたうえで利用する必要があります。
担保があれば借りやすくなる理由

カードローンなどの金融商品の多くが、信用をベースに融資を行っています。
この信用というのは日頃の行いなどを見られているのではなく、クレジットスコアリングといって、個人の属性や過去の取引実績などを解析してスコアリングして判断されます。
信用が低い人は統計的に返済困難になる可能性が高いため、どの金融機関も融資を断ってきます。
ただし、融資を断るのは返済困難になるリスクがあるためで、絶対に返済できると分かっていたら話は変わってきます。
都内に100坪の土地を持っている人がいたとしましょう。
坪単価が500万円なら5億円分の資産を持っていることになります。
そのような人なら、もし返済できなくなったとしても5億円までの融資なら、土地を売ることで回収できます。
ただ、返済できなくなってから土地を売って返済しろというのではトラブルになりますので、貸すときに土地を担保にするという条件で契約し融資を行います。
これで貸し倒れリスクがほぼゼロになりますので、金融機関は積極的な融資を行えるようになります。
実は、信用をベースに融資を行う以前は、このように何かを担保にして借りるというのが一般的でした。
その代表的な仕組みが質屋で、質屋は価値のあるものを質入れしてお金を貸し、返済できなかったら質入れした品を売却して資金回収をおこないます。
町の質屋でも江戸時代から続くお店というのが珍しくないのは、質屋は担保をとっているから赤字になることがないためです。
金融機関にしても担保をとる金融商品はとても安全な商品ですので、信用をベースに融資を行う商品よりも審査が通りやすくなるというわけです。
担保を差し出すことで借り入れできる5つの制度
担保があれば審査に通りやすくなるとお伝えしましたが、担保になるものは何でもいいというわけではありません。
金銭的な価値のあるものだけが担保になるため、担保を差し出すことでお金を借り入れできる制度はそれほど多くありません。
ここでは一般的に利用されることの多い、5つの制度についてご紹介していきます。
不動産担保融資

担保型融資の中でも利用者が多いのが、不動産を担保にした融資です。
不動産担保融資の特徴は、なんといっても借りられる金額が大きいという点にあります。
金融機関によって借り入れできる金額の上限が違いますが、1億円以上借りることができるものもあります。
もちろん、不動産の価値以上に借りることはできませんが、担保にする不動産の50〜70%程度は借りることができます。
1000万円の価値があるなら、500万〜700万円まで融資を受けることができますので、まとまったお金が必要なときに適しています。
生命保険の契約者貸付

積立型の生命保険に加入している場合には、契約者貸付制度といって、その生命保険を担保に融資を受けることができます。
正確には、解約したときに発生する解約払戻金を担保にお金を借りることになります。
お金を担保にお金を借りるということになりますが、契約者貸付制度のメリットは保険を解約せずに済むという点にあります。
しかもカードローンよりも金利が低く、審査もなく最短即日で融資を受けることができます。
ただし、借りられるのは解約払戻金の7〜8割り程度で、利息と借入残高の合計が解約払戻金を超えてしまうと保険が失効することもあります。
証券担保ローン

お金と同じくらい価値のあるものとして、株式などの有価証券が挙げられます。
株価によって価値が上下しますが、それでも現金化するのが容易で比較的乱高下しにくい証券も、担保にしてお金を借りることができます。
お金に困ったときには株を売れば解決しますが、これから値上がりが予想される株は手放したくないですよね。
そういうときに証券担保ローンを利用します。
利用している証券会社にもよりますが、証券価値の60〜80%のお金を借りることができ、1億円を超える借入れも可能です。
定期預金担保貸付

銀行で定期預金をしている場合には、それを担保にすることもできます。
銀行ごとに呼び方が違いますが、自動貸付や口座貸越と呼ばれる商品で、定期預金を解約せずにカードローンよりも低金利で融資を受けられるという特徴があります。
利用できる額は定期預金残高の90%までですので、預金額が少ない場合には借りられる金額が限られてしまいますが、申込みをしておくとATMから簡単に借りることができるなど、利便性の高さが魅力の貸付制度です。
年金担保貸付と恩給・共済年金担保融資

日本では年金を担保に融資を行うことが禁止されています。
とはいえ年金収入の人でも緊急でお金が必要になることもあるため、国が認めた下記の2つの機関であれば年金を担保にして融資を受けられるようになっています。
年金担保貸付:福祉医療機構
恩給・共済年金担保融資:日本政策金融公庫
会社員や自営業者は福祉医療機構の年金担保貸付、公務員は日本政策金融公庫の恩給・共済年金担保融資を利用できます。
いずれも低金利で借りることができ、返済も年金から天引きされるため、返済忘れがないという特徴があります。
残念ながら福祉医療機構の年金担保貸付は、2022年3月で終了することが決まっています。
会社員や自営業者は年金を担保にして融資を受けられなくなりますので、注意してください。
担保を差し出すときの注意点
ここまでの説明で、カードローン審査に通らない人でも、不動産や定期預金、年金などを担保にすることでお金を借りられるということを理解してもらえたかと思います。
ただ、これらの制度を利用するには気をつけなくてはいけないポイントがいくつかあります。
どのような点に気をつけなくてはいけないのかを見ていきましょう。
返済できなくなると担保にしたものを失う

何を担保にするにしても、返済ができなくなると担保にしたものは手放さなくてはいけません。
それが先祖代々の家であっても、これから100倍に値上がりする株券であっても、担保にした以上は、返済不能になったときには回収されてしまいます。
返済できなくなってすぐに回収されるわけではありませんが、猶予は2ヶ月程度しかありません。
このため、絶対に手放せないものを担保にするのはおすすめできません。
また、不動産を担保にする場合には、必ず家族や関係者に相談してから利用しましょう。
貸付制度によっては融資に時間がかかる

何かを担保にして借りる場合には、手続きが必要になるため、申込みから融資までに時間がかかります。
不動産のように正確な価値がすぐにわからないものを担保にするとなると、調査も必要になります。
担保を使って融資を受ける場合には、審査を通りやすくなる一方で融資までのスピード感に欠けます。
このため、すぐにお金が必要というようなケースでの借入れには適していません。
ただし、生命保険の契約者貸付制度であれば、即日融資に対応している保険会社もあります。
返済が長期化する場合には手放したほうが有利になることもある

生命保険や有価証券、定期預金を担保にしてお金を借りる場合、それらを手放さないで資金調達ができるため、とてもメリットがあるように感じますが、低いとはいえ金利が発生します。
このため、長期間借り入れをした場合には手放さないで得られるお金より、利息のほうが大きくなることがあります。
特に株式の場合には長期化すればするほどリスクが大きくなり、株価が大幅に低下する可能性もあります。
いずれも返済期間が緩やかに設定されていますが、利用するときには必ず返済計画を立てて、できるだけ短期間での完済を目指しましょう。
完済の目処が立たないようであれば、担保にして借りるのではなく解約するという選択肢も頭に入れておきましょう。
まとめ:担保があれば借りやすくなるけど利用は計画的に

不動産や証券などを担保にすると信用はそれほど重要ではなくなり、カードローンなどで審査落ちした人でも、すんなりと融資を受けることができます。
ただし、返済できなくなったときには担保にしたものを手放さなくてはいけません。
このため、いくら借りやすいからといって安易に利用するのではなく、必ず返済計画を立てから借りるようにしましょう。
計画的に利用しても返済できなくなるリスクがありますので、手放せないものはできるだけ担保にしないようにしてください。